帰って来たシンケンジャーのエピソードより。茉子総モテ。
ユメバクラを倒した帰り道。
「しっかし丈ちゃんってやらしいよなぁ」
源太はニヤニヤしながら丈瑠に話しかけた。
「何がだ」
「妄想の中じゃ茉子ちゃんをあんな姿にするとはさぁ」
「ま、おかげでいいもの見せてもらったけど」
後ろを歩く流ノ介と千明がそれぞれ心の中で頷く。
ことはとしゃべっていた茉子だが、男性陣の空気を敏感に察知し、近くにいた千明に尋ねる。
「何の話?」
「いや、あの」
「茉子ちゃんの姐御姿を幻じゃなく本物で見たいなぁって」源太はサラリと言ってみせる。
「冗談じゃないわ」呆れながら茉子がいう。
「ウチも見たいわ」
「ことはまで何言うのよ」
「あれは俺だけの茉子だ」ムッとした表情で丈瑠は歩きを早めた。
「さらっとすげぇこと言うよな」丈瑠の背中を見ながら源太は言う。
「俺の茉子ちゃんだってお姫さまなのにさ」
「あれが?」
「金髪縦ロールは俺のお姫さまのイメージだ。俺は姫を守るガンマン」
「ふん」丈瑠が鼻で笑う。
「俺の茉子の方がキレイだ」
「いーや露出の少ないドレス姿の方が妄想かきたてられるんだ」
「妄想の中の妄想ってなんだよ。だったら女刑事もよかったろ?」
「もー千明までなんなの! 勝手に私で遊ばないで!」
「茉子ちゃんの男子高生もかっこいいもん」
「ことは!」
(変身後だけど亀の茉子もかわいいぞ)
何となく会話の輪に入りそびれた流ノ介が思う。
(イヤ私だって…!)
「私も茉子の妄想ならしたことがある!」
一斉に流ノ介を見る。
「茉子は水着だ。しかも白いビキニ」
「!!!」
「それで」源太は生唾を飲み込みながら聞く。
「りゅーのすけー」茉子の声が響く。
「いい加減にしなさい!」風がどんどん強くなる。
「茉子ちゃんアカンって!」
ことはが抱きつく。
「ことは…」風が収まり、ほっとする男性陣だったが
「今度一緒に温泉に行くって約束したやんな。その話せぇへん?」
「そうね」
「温泉…?」
茉子やことはが素直に教えてくれるはずがない。黒子に内密に調べてもらうか。ほくそ笑む丈瑠に男性陣が一斉にブーイング。
「殿、なんですか今の表情は?」
「何企んでるんだよ」
「丈ちゃん教えろ!」
賑やかな男性陣を見て思わず顔がほころぶ茉子だった。