PeachRedRum

高梨臨ちゃんのファンです

意地悪だなー

時系列もなにもあったもんじゃなく、なんとなーく書いたらこんなになっちゃった! 敵役みたいなのを出さないと話作れないなんてなーんかだめだー。暗いし、ドロッとしてるし。全然シンケンジャーじゃないぞー。もっと明るくさわやかな話書きたい―!!! お目汚し失礼しました。

 

 

「丈瑠くんは今日来るの?」

「いや~、どうかな」

「仲いいんでしょ? 知ってるくせに教えてくれないなんて意地悪ね」

 

はー、苦手だな、この手の客。丈ちゃんの仲間になってこの街で屋台も始めた。常連客は増えたけど、いるんだよな、丈ちゃん達が目当ての客で、やたら突っ込んだことを聞いてくる。客だからこっちも無下にできないし…。俺や丈ちゃんより多分ちょっと年上。ケバくて声が大きくて…どう考えても丈ちゃんの好むタイプに思えない。

 

「いっつも一緒にいる女いるでしょ、背が高い方。あれ、何なの、彼女気取りで」

 

少し前からやたら茉子ちゃんの悪口を言うのもムカつく原因の一つだ。

 

「あ、悪いね、あの子そいつの彼女だから」

「嘘でしょ?」

「ホント、ホント。お似合いでしょ、あの二人」

 

あー、俺だってこんなこと言いたかないけど、仕方ない。

 

「そう。じゃ話をさせてよ」

「…えぇっ? 何を?」

「女同士の話よ」

 

 

「てなわけよ」

「もーなんで勝手に彼女にしちゃうかなぁ?」

「諦めるかと思って」

「いいよ。話はする。源太の常連客がまた減っちゃうかもしれないけど」

「いやいいんだ、そんなこと」

 

二人で丈ちゃんにこのことは話さないでおこうと決めた。丈ちゃんを煩わせたくないと茉子ちゃんは言って、一人でやってきた。そこに例の客も。

 

「あなた丈瑠くんの彼女ってほんとなの?」

「ええ。お付き合いしてます」

「証拠見せてよ? 前に丈瑠くんに告白したの。あっさりフラれたけどね。彼女はいないし、作るつもりもないと言ってた」

 

茉子ちゃんと思わず顔を見合わせてしまった。俺も知らなかったし、茉子ちゃんも戸惑っている。

 

「あなた丈瑠くんの何なの?」

「…仲間です。一緒に戦っている」

「ふふっ、何言ってるの? 好きなんでしょう? 彼女気取りだけど相手にされてない」

 

女が酷い顔で笑う。

 

「好きですよ、相手にされてないのもわかってます」

 

俺は茉子ちゃんになんてことをさせたんだろう。

 

「なんだか今日は騒がしいな」

「丈ちゃん!」

 

「どうした、茉子」

丈ちゃんは茉子ちゃんの方だけを見てしゃべっている。

 

「ううん、何でもない」

「ここに座れ」

丈ちゃんは自分の隣をとんと指で叩いた。

 

「うん…」

茉子ちゃんは丈ちゃんの隣に座った。

 

「まだ話は終わってないけど?」

「源太、もういいだろう」

 

丈ちゃんが厳しい視線を俺に向けた。

 

「お客さん、悪いけどもうここには来ないでくれねぇか?」

「何よ、それが客に向かってする態度?」

「お客さんは俺の大事な客を傷付けた。それは許せない」

 

俺を睨み返した女は今度は丈ちゃんに目を向けた。

「丈瑠くん」

 

丈ちゃんは茉子ちゃんをかばうように立ち上がると、女の目を見て言った。

「あんたみたいな人に本当のことなんて言いたくなかったけど、俺の方が相手にされてないだけで好きな人はいます。その人は俺よりずっと精神的に大人で俺と一緒に戦ってくれています」

茉子ちゃんがハッとして丈ちゃんの顔を見上げている。

「だからもう俺に構うのはやめて下さい」

丈ちゃんは女に深々と頭を下げた。

 

「フン、ちょっとからかっただけでしょ」

 

女は去っていき、丈ちゃんは座ると平然とお茶を飲み始めた。

「源太、早く寿司を出せ」

「あ、あぁ悪ぃな」

 

「丈瑠一人でも大丈夫だったんじゃない?」

茉子ちゃんがいつもと同じ笑顔を見せた。だけど少し無理をしているようにも見える。

 

「あー、そうみてぇだな」

俺は、握った寿司を二人の前に出した。

 

「丈瑠、話を合わせてくれたんだね」

「…俺は嘘は言ってない」

「丈瑠を相手にしない人なんているわけないよ」

 

丈ちゃんが一瞬恥ずかしそうに下を向いて、黙って寿司を食べ始めた。俺が今まで見たことないような顔だった。その顔を見た茉子ちゃんまで見たことのないような表情を見せている。ほんっとにお前ら、見せつけてくれるよな。丈瑠に見せた表情なのに、俺はやっぱり茉子ちゃんに見とれてしまった。