PeachRedRum

高梨臨ちゃんのファンです

MEN’ CLUB 5月号【後編】

前編記事が出てから結構すぐに後編記事も出てた

 

 

 

元記事

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2018.04.12

 

【連載】ベストセラー作家・水野敬也の美女とのデートはお洒落が9割

朝ドラ女優・高梨 臨と心の距離を縮める「棒銀作戦」で攻める!【後編】

 

 

『夢をかなえるゾウ』シリーズ売り上げ300万部、『人生はニャンとかなる!』シリーズ売り上げ200万部の、人気作家・水野敬也が、自身の最大の弱点「お洒落」に体当たりで臨む企画。日本で活躍する最高峰の美女たちに、水野のお洒落理論は通用するのか⁉

 

 

>>>「棋士好きな大河女優・高梨 臨が人気作家とデート!? 【前編】」の続きです。

 

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今月のお相手・高梨 臨

棋士好きな大河女優には

カジュアルが効く!?の巻」

 

 

彼女との心の距離を縮める、

棒銀作戦で攻める!

 

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高梨 臨さん(女優・モデル)…昨年4月に放送された日本テレビ系ドラマ『恋がヘタでも生きてます』で主役を務めたことでも広く知られる彼女。現在、毎週日曜日20時から絶賛放送中のNHK大河ドラマ西郷どん』では主演の鈴木亮平と2014年のNHK連続テレビ小説花子とアン』以来の共演で話題に。女性誌『and-GIRL』でレギュラーモデルを務めながらも、日々ドラマの撮影に勤しむ。

 

 

 そして、会食当日。恵比寿の隠れ家鉄板焼き「嬋(ぜん)」に到着すると、先に到着していたSが言いました。

 

「いやあ水野さん、なかなか手持ちの服がなくて……」見ると、Sは上下グレイの服を着ていました。

 

「どういうことですか?」意味が分からず、首をひねりながらたずねるとSは「何言ってんですか」と笑いながら言いました。

 

「水野さんが『銀になれ』って言ったんじゃないですか」そういう意味じゃねえ。この作戦にお前のビジュアルは一切関係ねえから!

 

 Sの天然さに唖然とした私ですが、作戦は忘れていなかったと前向きに解釈し、改めて棒銀作戦についてSに伝え始めました。

 

 しかし――「こんにちは」女性の声に振り向くと、そこには予定の時間よりも早く、高梨 臨が立っていたのでした。

 

 もちろん、彼女がテレビで観るより遥かに美しかったこともあるのですが――女優だけじゃなくモデル業もこなす彼女のスタイルは抜群であり、この時点で矢倉囲いどころか万里の長城くらいのハードルの高さを感じることになりました。しかしこのまま立たせておくわけにもいかず、「ど、どうぞ」と彼女に席を勧め、隣に座りました。

 

(こ、こんな美女と何を話せば良いんだ……)

 

 この時、私の頭の中には摩周湖かってくらいの霧がかかっていたのですが、彼女の口から思いもよらない言葉が飛び出しました。

 

「『LOVE理論』読みましたよ」

 

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『LOVE理論』というのは私の書いた恋愛本なのですが、本の開始3ページ目で私の陰毛写真が登場するという下ネタ満載の内容なのです(しかも、この本は男性向けです)。今までこれを読んだ女性に会ったことはなく、しかもこうして気軽に口に出してもらえたことで、一気に親近感を覚えることになりました。

 

 こうして『LOVE理論』の話でひとしきり盛り上がったあと、私の今日の服装についてたずねたところ、彼女は言いました。

 

「お洒落だとは思いますが……なんで中に着てるのスウェットなんですか!」

 

「ええ⁉」

 

「最初のデートでいきなりスウェットだったら、ちょっと残念な気になりますよね。せっかく素敵なお店なのに、もったいないですよ!」

 

 心の中では(おい、お洒落番長K!何が羽生の休日だよ! お前の考え根本的に間違ってるじゃねえか!)と毒づくことになったのですが、同時に、高梨 臨に更なる魅力を感じることになりました。彼女の言い方が、ダメ出しというよりも軽い冗談のような感じで心地よかったんですね。こういう風に本音をサッと会話に織り交ぜられると距離が近づいた感じがして、高梨 臨は相当男にモテると確信することになりました。

 

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 ただ、彼女の新たな魅力に気づいたところで、仲良くなれるわけではないのです。しかも彼女は私を気遣ってどんどん話を振ってくれるので、彼女のペースで会話が進み時間はどんどん過ぎ去っていきました。そのことに不安を覚えた私は、(S、もうそろそろ会話に加わって……)きょろきょろと周囲を見回しSを探したのですが、彼の姿を見て衝撃を受けることになりました。

 

 Sは――何をするでもなく、無表情のまま部屋の隅に突っ立っていたのです。

 

 おい、S! 棒銀の棒は、棒立ちの棒じゃねえぞぉぉ!!!

 

 私は「ちょっとお手洗いに」と言って席を立つと、Sをトイレの前に連れてきて言いました。「な、何やってるんすか!」するとSは、「す、すみません。どのタイミングで会話に入ればいいか分からなくて。残り時間が10分くらいになったら行こうかなとは思ってたんですが」

 

「遅すぎるわ! その時間にはもう勝負ついてるから! 僕が席に戻ったら、なる早で会話に入ってきてくださいよ!」 

 

 そう言い残してトイレに行き、再び席に戻りました。そして会話を自分のペースに引き込もうと、こんな質問をしました。

 

「高梨さん、ゲームはやるんですか?」

 

 ちなみに、雑誌のインタビューを読むと、女優の人は結構な確率でゲーマーであることが多く、私もゲームに関しては(少なくともお洒落や料理よりは)知識があるからです。この質問に対して彼女は言いました。

 

「昔、ぷよぷよにハマっていた時期がありますね」

 

 残念ながら私はぷよぷよはそれほど詳しくはないのですが会話を続けるために記憶をたどりながら言いました。

 

ぷよぷよ面白いですよね。僕が好きだったのは、連鎖が決まるたびに『プーアール茶』とか『鉄観音茶』とか、お茶しばりのキャラ……」そこまで言ったとき、高梨 臨は間髪入れず言いました。

 

ケルトンTですね

 

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――これ、分かる人なら分かると思うんですけど、会話中に、ゲームや漫画の固有名詞をバシッと言ってくれる女性、めっちゃよくないですか? まあ、メンズクラブの読者には分からないかもしれないですが、1999年に廃刊になった『ゲーメスト』愛読者だった人なら間違いなく分かるはずです。

 

 こうして私は、ますます高梨 臨の魅力に打ちのめされることになったのですが、このタイミングで、「失礼します……」ついに、Sが私の隣の席にやってきました。(頼むぞ、銀! 俺が魅力的に映るように、俺の凄いところとか、具体的な本の部数とか、とにかく俺を持ち上げてくれれば、その勢いに乗って敵の本陣に切り込んでみせるからな!)

 

 私はそう思いながら、Sの動きに意識を集中しました。すると、Sはゆっくりとした口調で話し始めました(以下、何の誇張もなく、Sが言った言葉をそのまま書かせていただきます)。

 

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「高梨さん、休日は何してるんですか? (返答も待たず)僕は、休日は、区境に行くのが好きなんですよ。区境って分かります? 区の境目なんですけどね。(高梨 臨の困惑の表情も無視して)たとえば世田谷区と杉並区の境には何もないわけですよ。その何もないところに行って『ここが区境かぁ』って。面白くないですか(笑)。そこで、考えごとをするのが好きなんです。結構考えますね。1時間くらい、考えるのかなぁ」

 

 何だこの不思議な話。

 

 私は、Sは天然というより軽いサイコパスなんじゃないかと疑い始めました。

 

 しかしSは延々と自分の話をし続け、場の空気をひたすら重くしていったのです。

 

(こ、この状況をどうやって収拾すれば良いんだ⁉)

 

 私は脳みそをフル回転させ考え続けましたが、この空気を変える方法は思いつくことができず、ただ時間だけが過ぎていくことになりました。

 

 こうして会食は終了の時刻を迎え、「お疲れさまでした。お肉、おいしかったです」笑顔で去っていく高梨 臨の背中を見ながら、(廃業しよう……)私は思いました。

 

(こんなに魅力的な女性と会っても仲良くなれず、最後は必ず絶望する仕事なんてもう嫌だ……)

 

 そして私は、Sの失態を口実に編集長に連載休止を伝えることを決意した、そのときでした。

 

「辞めちゃだめよ」

 

(そ、その声は――)

 

 背後から聞こえた声に振り向くと、そこに立っていたのは、大宅壮一先生でした。

 

 大宅先生は言いました。「美女と仲良くなるために、いつもと違う方法を試した。今回は結果的に、味方の銀に王将が取られたわけだけど、現実ではそういうアンビリーバボーなことも起きるってことを真摯に読者に伝えるべきなんじゃないかな」そして先生はウィンクをして言いました。

 

「それが、ジャーナリズムってやつだからさ」

 

「せ、先生……」

 

 私は大宅先生の言葉に感動し目頭を熱くさせたのですが、ふとある疑問が重い浮かびました。(高梨 臨は気さくな人で、矢倉囲いの雰囲気なんてまったくなかった。そもそも大宅先生発案の『棒銀作戦』が間違っていたんじゃ……)

 

 しかし、そこにはもう大宅先生の姿はなく――強烈な加齢臭だけが漂っていたのでした。

 

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今回のデート相手、高梨 臨さんが出演するNHK大河ドラマ西郷どん』はNHK総合テレビにて毎週日曜日20時から絶賛放送中。写真はふき役の高梨さんの和装姿で(鈴木亮平演じる)西郷隆盛と不思議な縁でつながる女性の役を演じる。

 

 

◇今回2人がデートしたのはこちら!

 

 

恵比寿の隠れ家的佇まい!

極上の鉄板焼き肉料理が充実

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帝国ホテルで10年以上修業をしたシェフが手がけるこちら。シャトーブリアンなど贅沢な肉を、7席のカウンター席の間近で調理してくれるので、今回の2人のように楽しみながらディナーを味わえる。個室はもちろん、2階にはアンティーク調の家具が配されており食後の特製デザートやコーヒーを飲めるラウンジ席も。

 

《SHOP INFO》

住所/東京都渋谷区恵比寿4-13-2

TEL/03・5792・4551

営業時間/17:30~23:00(L.O.21:30)

定休日/月曜

 


高梨 臨さん:トップス3万3000円(エリン) ●お問い合わせ先/シップス 有楽町店 TEL 03・5252・7748 ショートパンツ4万円(ロキト) ●お問い合わせ先/アルピニスム TEL 03・6416・8845 イヤカフ(1つずつ)1万7500円(マユ) ●お問い合わせ先/マユ アトリエ TEL 0422・27・1778 バングル4万3000円(マユ) ●お問い合わせ先/マユ アトリエ TEL 0422・27・1778 バッグ1万8000円(メゾン ヴァンサン) ●お問い合わせ先/フラッパーズ TEL 03・5456・6866



 

面白い文章だし、臨ちゃんがモテるわけが分かった気がします。そりゃあんなに美人で気さくならねぇ。