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【インタビュー】高梨臨がカンヌ選考員と対談! 難しくて、楽しい初めての映画祭審査員

 

 

2014.6.6 Fri 15:00

【インタビュー】高梨臨がカンヌ選考員と対談! 難しくて、楽しい初めての映画祭審査員

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高梨臨(左)&ローレンス・レイモンド(右)/「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2014」での対談

 

現在、東京と横浜で開催中の米国アカデミー賞公認の国際短編得映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2014」(SSFF & ASIA)。2015年度のアカデミー賞「短編部門」ノミネート選考対象作品となるグランプリを決める審査員に就任した高梨臨とカンヌ監督週間短編部門選考員であるローレンス・レイモンドに、ショートフィルムの魅力についてたっぷり語ってもらった。(※その他の審査員は、俳優・石坂浩二、映画監督・北村龍平、小説家・湊かなえ

 

高梨さんは、イランの名匠アッバス・キアロスタミ監督作『ライク・サムワン・イン・ラブ』で脚光を浴び、NHK朝の連続テレビ小説花子とアン」、6月14日(土)には榮倉奈々加瀬亮ら共演の『わたしのハワイの歩きかた』の公開も控える、いま最も旬な新進気鋭の女優。

 

一方のローレンスさんはパリの配給会社で務めた後、フリーの映画評論家として活動を始め、映画雑誌、インターネットにて評論を執筆。演じる側の女優と作品選考を仕事とするプログラミング・コーディネーターが邂逅した。

 

――今回のオフィシャルコンペティションの応募数は4,264本、うちノミネートされた68本のショートフィルムをすべて観られたそうですが全体の感想はいかがでしたか?

 

高梨さん:今回、初めてこんなにたくさんのショートフィルムを観ました。国ごとに作品に個性があって、とても楽しめました。

 

ローレンスさん:いつも仕事でショートフィルムを観ていますが、今回は作品の中に見る「SSFF & ASIA」に対するアプローチや、いつもと違った角度の作品が見れたことが面白かったです。幅広い作品群の中にはこれまでに観たことのないショートフィルムもありました。

 

 

――「SSFF & ASIA」は世界中から作品が集まっていますが、世界と日本の違い、地域における作風の違いを感じる瞬間はありましたか?

 

高梨さん:アジア作品は、その国の社会背景を反映させた物語が多くありました。日本は日本で、いま現在起きていることを、それぞれの監督が違った視点から捉えた作品が多く、国というよりは監督一人ひとりの個性がショートフィルムには表れていると思いました。

 

ローレンスさん:日本の作品には、テーマやビジョンという点で共通点が見られた一方で、日本の作品はジャンルがたくさんあって面白かったです。アジアの場合は、そう簡単にはまとまらないんだけど、それぞれの国の監督の声とスタイルがあって、いま直面している問題というよりは“家族・恋愛”というテーマが多く見られたわ。

 

 

――ショートフィルムは短い時間の中で、ショートフィルムならではの演技をしなければなりません。役者目線で着目したポイントはありましたか?

 

高梨さん:普段は役者の演技を評価する立場ではないので、難しいところはありましたが、審査員として作品に点数をつけるにあたっては、芝居どうこうよりは作品全体を見ていたかなという印象です。もちろん役者さんが素晴らしい作品はあったんですけれども、この短い時間の中で、すごく内容が詰まっているからいい作品というわけでもなく、あっさりしたライトなものが良かったりもするので…。そこはショートフィルムというフォーマットの面白さでもあり、表現の難しさでもあると思いました。

 

 

――普段プログラマーとして働かれているロレンスさんの考えるショートフィルムの魅力とはどんなところですか?

 

ローレンスさん:たくさんありますね。ひと言で表すのは無理(笑)。ただ、ショートフィルムはクリエイティビティを活かせるフォーマットです。予算や作品時間ではなく、監督のアイデアを試すことができるというのが一番大きいのではないでしょうか?プログラマーとしては、まずはオリジナリティを求めています。作品から聞こえてくる“新しい声“、どれだけ実験的なことをしているかという点がポイントかもしれません。もちろん新しい才能にあふれた監督も探しています。

 

 

――映画祭は未来の映像作家が羽ばたいていくためのツールであり装置であるわけですが、若手のクリエイターに向けてメッセージをお願いします。

 

高梨さん:(役者という立場からは言えないのですが)審査をさせてもらって、項目ごとに点数をつけていくわけですが、その点数がいくら1位だったとしても自分の中での1位は違ったりして…。だから審査って難しいなと。受賞を逃したとしても、私の中ではすごく気に入った作品もあったので監督さんたちにはショートフィルムをずっと作り続けてほしいですね。

 

ローレンスさん:まずは作品に対する責任感をもつこと。そして怖がらず、勇気と自信をもって作ることです。

 

 

――キアロスタミ作品や、世界12か国での上映が決定したモー・ブラザーズ監督、日本・インドネシア合作『KILLERS』などで国際的に活躍する高梨さんですが世界のショートフィルムをみて刺激はありましたか?

 

高梨さん:普段あまりみることのできない海外作品は“驚き”とか“発見”とか、終わった後に色んな想像をさせてくれる楽しさがあって、個人的にとても面白かったし、役者としても勉強になりました。

 

そうですね、ショートフィルムは見る方に解釈をゆだねる作品が多いのかもしれませんね。解釈の仕方も何パターンもあって、監督がそれをあえて用意していない、そんな作品もありますね。ところでロレンスさんは、1年間に何本ショートフィルムを観ているんですか? その中で、一番好きな作品ってあったりしますか?

 

ローレンス:ひどい質問ね(笑)! だいたい毎年1,800本くらい観ています。「あなたの一番好きな曲は何ですか?」と聞くのと一緒で、印象的な作品はたくさんあるので一作品を選ぶのは難しいわ。

 

オフィシャルコンペティション部門の「優秀賞」、および「グランプリ」は、6月9日(月)に AiiA Theater Tokyoにて開催されるアワードセレモニーにて発表される。

 

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2014」は6月15日(日)まで開催。

 

《text:cinemacafe.net》

 

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高梨臨/「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2014」での対談

 

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高梨臨(左)&ローレンス・レイモンド(右)/「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2014」での対談

 

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高梨臨/「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2014」での対談

 

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高梨臨/「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2014」での対談